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よいどれうさぎ

「タナトスの双子 1912」「タナトスの双子 1917」 和泉桂

JUGEMテーマ:BL小説
《あらすじ》
「軽蔑しているのに、私に従うのか」
時は帝政ロシア末期。
オルロフ侯爵家の嗣子ユーリは天使のように優美な容姿を持ちながら、近衛師団では切れ者の大尉として知られている。
そして、彼のそばには副官のヴィクトールが常に付き従っている。
目的のためなら躰を利用することも厭わないと噂のユーリを侮蔑を籠めた目で冷たく見ながらも、屈従を崩さず―――
折しも、ユーリは幼馴染みのマクシムからある青年を紹介される。
それは死に別れたはずの双子の兄、ミハイルだった!?
愛と憎しみ、憧憬と裏切り。
複雑な想いが絡まり合い……


この物語には、主に五人の男が登場します。

ユーリ・ドミトリエヴィチ・オルロフ……軍人。公爵家の継嗣。ミハイルの双子の弟。
ミハイル・アラモヴィチ・フロムシン……居酒屋の看板息子。革命運動に傾倒。
ヴィクトール・イワノヴィチ・カヴェーリン……ユーリの副官。地方貴族の出身。マクシムの後輩。
アンドレイ・ニコライエヴィチ・グロトフ……食料品店の跡取り。ミハイルの幼馴染み。
マクシム・ヴァジリエヴィチ・ラジオノフ……新聞記者。伯爵家の三男。ユーリの幼馴染み。

ところで私、もともとこの本を買うつもりはなかったんですよねぇ。
上下巻になっているし、もし面白くなかったら悲惨じゃないですか。ノベルズだから高いし。
しかし高階先生のイラストがびっくりするくらい美麗で、「こ、これはやばいかも」という状態になりました。
それでも何とか耐えていたのですが、大洋図書の公式サイトで「1912」の裏表紙のイラストを見て脳天撃ち抜かれてしまいました。
上の画像では写ってませんが、裏表紙ではソファにもたれたユーリの手にヴィクトールが跪いて口づけているんですよね。
ヴィクトールが私好みの容姿だったこともあり、たったそれだけで、もう駄目でした。イラストの威力ってすごい

たとえお話に入り込めなかったとしても、「軍服・主従・下克上・調教・敬語攻め」といった要素がお好きな方は萌えで乗り切れます。
しかし、私の好きなそういう萌え要素がヴィクトール×ユーリカップルに偏っていたためか、アンドレイ×ミハイルカップルにはあまり萌えませんでした
後者も悪くはないのですけどね。何かヴィクトールにおいしいとこ全部持ってかれたような感じがするのです。

さて、少しお話のほうを説明いたしますと、ミハイルとユーリはとても仲のいい双子で、母親とともに田舎の村で幸せに暮らしていました。
しかし、その日々は二人が十二歳になった年に突然終わりを告げます。
二人は公爵の私生児だったのですが、嫡男を失った公爵が、跡継ぎにするためにミハイルを迎えに来たのです。
しかし、ミハイルを乗せた馬車は悪天候に見舞われ、谷底へ。
ユーリはミハイルの代わりに、公爵家の跡継ぎになるべくサンクトペテルブルクへ行くことに。

そして十三年の月日が過ぎたころ、明るかったユーリはすっかり鬱屈した人間となり、皇帝ニコライ二世の下で革命派の運動を弾圧する公安部隊を率いる軍人として、辣腕を振るっていました。
一方、死んだと思われていたミハイルは実は生きており、記憶をなくしていたもののサンクトペテルブルク最下層の貧民窟・ペスキで居酒屋の看板息子として、そして裏では革命派の構成員として働いていました。
双子でありながら対照的な人生を歩んでいた二人は、ユーリの幼馴染みマクシムを介して再会します。
それが全ての始まり。

ユーリとミハイルの立場も正反対ですが、彼らに寄り添う男のタイプもこれまた正反対です。三者三様。
身体を使って上官に取り入るという噂のユーリを軽蔑しつつも、彼に暗い情熱を向けるヴィクトール。
男女構わず誰とでも寝るミハイルを一途に思い続け、彼を抱かないことで自身の愛情を証明し続けるアンドレイ。
貴族でありながら内心では革命派に共感を覚える、ユーリが想いを寄せる幼馴染み・マクシム。
双子が再会したがために、彼らの運命もまた否応なしに時代の流れに巻き込まれていく形になります。

双子と彼らを取り巻く三人の男がどんな運命を辿るのかは、ぜひとも本を手にとって確かめていただきたいです。
ちなみに長いです。上下巻の上に二段組みですので。
でも歴史ものとはいえ小難しい内容ではないので、読みづらくはなかったですよ

それにしても、この時期に帝政ロシア末期を舞台にした作品を読んでしまうと、否応なくNHKドラマ「坂の上の雲」を思い出してしまいます。
第一部の最終回では広瀬武夫がサンクトペテルブルクの舞踏会でアリアズナ嬢とダンスを踊っていましたが、もしユーリが実在したら道端でユーリとすれ違うくらいはしてたかも、と妄想しちゃいました

ところで余談ですが、登場人物にいちいちミドルネームがあるのは何でなんだろうと思っていたのですが、これがないとどこの誰だか区別がつかないからなんですかね。
よくわからないんですけど、少なくともユーリとミハイルに関しては父親の名前をミドルネームにしてますよね。
ユーリの父親はドミトリーだから「ドミトリエヴィチ」、ミハイルの父親はアラムだから「アラモヴィチ」。
とするとアンドレイの父親はニコライで、ヴィクトールの父親はイワンという名前になるんでしょうか。
ユーリ・ドミトリエヴィチ・オルロフはオルロフ家のドミトリーさんの息子・ユーリって感じになるんですかね。
あんまり名前に種類がない欧米ならではという感じがして、ちょっと興味深かった。
けど、全部の名前を名乗ると父親の名前までわかっちゃうから、個人情報保護の観点からはまずいのではないか、と余計なことも考えてしまいました
どうでもいい話ですね。

では、以下ネタバレです。
いつも以上に長ったらしいので、お時間のあるときにどうぞ。

和泉先生の作品を読むのは「夜ごと蜜は滴りて」以来だったのですが、やっぱりハマり切れない部分がありました。
誤解のないように言っておきますが、面白くなかったわけでは決してありません。でなければ星四つはつけませんので。
ただ、星四つの評価になったのは、前述した萌え要素が散りばめられていたからというのも大きくて、もし調教だの下克上だのといった要素がなかったら、ここまでの評価になっていたかというと、必ずしも肯定できないところがあるんですよね。

理由の一つは、文章に違和感があったから。
物書きを生業とされている方に対して、ホント「何様?」って感じなのですが、気になってしまったのですよ。
「1912」の199ページで居酒屋に来ていた客が「びっくりしたってなんの」と話すシーンがあるのですが、ここは「びっくりしたのなんのって」じゃないのか?と思ってしまったり。
「1917」で、怪我をしたミハイルのためにアンドレイがスープを作ってあげるシーンでは、ミハイルに「味見したんだろ?」と言われて肯定していたのに、その直後に「怖くて(味見が)できなかった」と言ったりして、結局アンドレイは味見をしたのかしてないのかどっちなんだ!?ってなりました(笑)
他にも気になった文はあるのですが、何か重箱の隅をつついてる感じなのでもうやめます。すいません、細かい奴で
でも、直前に高遠先生の「成澤准教授の最後の恋」を読んでいたせいか、文章力の差がやけに目に付いてしまいました。
ファンの方すみません……「夜ごと〜」を読んだ時はこんなこと思わなかったんですけどね。

理由の二つ目は、和泉先生には全く非はなくて、私が思っていたのとちょっと違った内容だった、ということなんですが。
双子の愛憎劇と銘打ってあったので、二人はもっとドロドロに憎しみ合うかと思っていたのですよ。
しかし実際には、ミハイルがユーリに怒りを覚えていたときは、ユーリは無邪気に兄を想っていただけでしたし、マクシムが死んだあとはユーリに憎しみが芽生えた代わりにミハイルから怒りがなくなってしまって、二人が同時期に憎み合ってたことはほとんどなかったんですよね。
あんまり激しく憎み合っていると最後許しあえなくなるというのはわかるのですが、昼ドラ並みの愛憎劇を期待していた私にはちょっと残念だったかも。

世にも美しい双子に愛されるというオイシイ…もとい、苦しい立場にあったマクシムですが、彼は主要キャラの中で一番分かりにくい人でした。
彼の心の動きはほとんど描写されないので、彼の言葉から思いを推察するしかないのですが、マクシムがユーリを愛していたのは間違いないかと思います。
彼はユーリを「神曲」のベアトリーチェに例えてましたが、彼女はどうやら主人公が求愛する女性のようなので、たぶんそう言っていいかと。

では、なぜ彼を抱かなかったのか……よくわからないんですけど、マクシムは思想的には革命派に親和的だったようですから、それとは対極的な立場にいるユーリと深い関係になったら、いつか彼を苦しめることになると思っていたんですかね〜
思想的にユーリと添うことはできない彼ですから、ユーリを心から愛し、彼とともに革命派の殲滅を決意しているヴィクトールには勝てないと思ったのかも。
でも、彼のどっちつかずな態度は本当に罪深かったと思う。
優しさと残酷さは表裏一体だなと思います。ユーリとミハイル双方から「マクシムはもしかしたら双子の片割れが好きなのでは……」と疑われてりゃ世話ないですよ。

でも、彼が亡くなるシーンは泣けてきました
それにしても、彼が死んだのはどう考えてもミハイルのせいだと思うんだが、逃げる際にミハイルがユーリに対し「マクシムに何かあったら許さない」とか思うのは何か筋違いじゃないの?と思ってしまった。
記憶がなかったにせよ、その考え方ちょっとおかしくね?みたいな。
マクシムはミハイルを庇って死んだんだし、ユーリはミハイルを逃がそうとしてくれたのにねぇ…。
そこまで激しくマクシムを想っていたのに、割とすぐにアンドレイを好きになったのもちょっと解せない。
マクシムへの恋情はユーリへの怒りと背中合わせになっていた感じがするので、記憶を取り戻してユーリへの愛情を思い出すと、マクシムへの思いが相対的に薄まったんだろうか、とも思うのですが。
ミハイルはマクシムが撃たれた前後の記憶がおぼろげになっているようなので、そのせいもあって以前ほどマクシムに対して感情が昂らなくなっているんでしょうかね。わかりませんけど。

何か気がつくと作品をけなしてばっかりなんですけど、面白くなかったわけじゃないですよ!
ヴィクトールとユーリの絡みは最高によくて、和泉先生は調教ものがお好きだなぁとしみじみ思いました
何かミハイルとアンドレイの絡みよりも生き生きと書いてらっしゃるように思えたのは、私の気のせいでしょうか(笑)
調教シーンは案の定私のお気に入りとなりまして、何度も読み返しております。
ヴィクトールはまごうかたなき変態だと思いますが、その変態っぷりがいいのですよ〜。
ユーリに経験がないと知ったとき、表情にはあまり出なかったけれどものすごく嬉しがっていたに違いない(笑)
ユーリを抱いたのは自分を憎ませ、彼に生きる意味を与えるためでしたが、やっぱりユーリの身体を抱けることを単純に喜んでいた部分もあったと思うのですよ。
これまでいろいろセクハラ(笑)はしてきたものの、本当に自分のものにできるとなったらやっぱり嬉しいだろうし、ユーリに経験がないとなればなおさらですよね。

ヴィクトールは恐ろしいほど献身的で、必要とあらばユーリの息の根を止めることも辞さない男。
ユーリの心の重要な部分をミハイルが占めていることをわかっていて、ミハイルを殺せばユーリは生きていられないことも知っている。
ヴィクトールは、己の片割れを殺した結果、ユーリの心がミハイルで占められてしまうことを恐れ、嫉妬していたのかも。だから、それくらいなら自分が…と思ったのかもしれませんね。
それよりも私は、ヴィクトールがミハイルに対して「自分の存在など、ユーリにとってはわずかなもの」と言ったことに驚いてしまいました。
一緒に逃亡生活を続けて一年くらいはたっていると思うのですが、いまだにユーリから愛されている自覚がなかったわけですね…ちょっと可哀想になってしまいます。
ミハイルと会った後、ユーリと抱き合っているのでちょっとは愛されている実感が持てたかもしれませんが、ユーリにはぜひヴィクトールに「愛してる」と言ってもらいたいです
だっても〜、今までヴィクトールが散々態度で示してるのに全然彼の気持ちに気づかなかったんですから、そのくらいはやってあげても罰当たらないと思いますよ。

ミハイルはユーリとヴィクトールを「似ている」と言っていましたし、ユーリも自分たち二人を「似たもの同士かもしれない」と思っていましたが、実際二人は似ていると思います。
何というのか、自分の心の中の感情がマーブル模様みたいに截然と分けられてなくて、相手を厭う気持ちと惹かれる気持ちが渾然一体になってて、何だかもうよくわからなくなってる感じが似てます。
ヴィクトールは、自分自身で言っているようにユーリのことが嫌いで、恩知らずの上恥知らずだと信じていた。でも、やっぱりユーリの放つ魅力には抗えなくて、彼のそばから離れることができなかった。
それはユーリも同じで、彼は軍人として理想的な容姿・体格の持ち主だったヴィクトールを羨んでおり、そうさせるヴィクトールを厭っていた。でも、どうしても無視できない。
マクシムの死がなければ二人が愛し合うことはなかったと思うのですが、最初から二人は互いの存在が特別だったわけですね

そんなヴィクトールのお気に入りのセリフはこれ。
「怒ったときのあなたの瞳の色が、一番美しいからです。まるでサファイアのように輝く。蒼い炎のようで―――いつまでも手許に置いておきたくなる」

ヴィクトールがユーリの顔、特に瞳の色にご執心な様子が文の端々から見て取れるので、何だか私もユーリの目の色が気になるようになっちゃいました。
マクシムを失って廃人同様になったユーリの瞳をもう一度輝かせたくて、ヴィクトールは調教じみた真似までしたのでしょうが、憎しみで曇った心ではユーリの目は輝かなかった。
「共に来い」と言われたとき彼の瞳が再び輝きを取り戻したのを見て、ヴィクトールはどんな気持ちになったんでしょうか。

ラストははっきりと描かれてはいませんけども、これってユーリ生還したんですよね?
ミハイルに関しては全く描かれてないけど、彼も生きてるんですよね??
デッドエンドとかマジありえないので、生きてるということにしておこう。

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